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ツリーランディングの危険

公開日: : 最終更新日:2013/03/31 未分類

木ノ上に降りてしまうことを、「ツリー」とか、「ツリーランディング」とか呼んでいます。

私自身も2回やってしまったことがりますし、友人の救援に向かったことも何回かありますので、色々聞いていた話を交えて書いてみましょう。

最初のツリー体験

丹那エリアで飛んでいたら、突然強風に煽られました。 全体に大きく揺れたと思ったら、次の瞬間、ドッカーンという感じで右側の翼がつぶされてしまいました。 教科書通りに左側のブレークコードを引いて、キャノピーの旋回を止めました。 これで安定したのですが、どんどん右後方に流されていきます。おかしいと思って翼を見たら、右側の1/3位が絡まってしまっていました。

突然強くなった向かい風で、後ろに流されているのであっという間に地上が迫ってきました。 いずスカイラインの手前でついに高度が殆ど無くなり、目の前にあった雑木林に突っ込みました。

「バサバサ」。。。という音と、「バリバリ」という枝が折れる音が聞こえて、私は見事にツリーランしていました。 最後は、「ホワン」という感じで、枝がショックを吸収してくれました。

2度目のツリー体験

丹沢で飛んでいたときのことです。 Nさんのグライダーが大山に向かったのを見て、私も大山に向かいました。 ちょうど雲がでていて日差しがなかったためか、大山山頂付近でサーマルが無く、少しずつですが高度が下がっています。 慌てた私はそのとき、大山の北側斜面だけは、雲の切れ間から日差しがあるのを発見しました。 「あそこに行けば、きっと暖まった空気が上昇しているに違いない」そう判断した私は、山頂を回り込んで北側斜面に飛んでいきました。 (今まで一度も飛んだことの無い場所でした。)

予想とは全く異なり、そこは強い下降気流帯になっていました。 さっさと引き返せば良かったのですが、下降気流の中で旋回すると高度ロスが大きいことを考えて、引き返すよりは、先に進む、ことを選択してしまいました。 日差しがしっかり当たっている場所まで飛んでいきましたが、そこも下降気流だけです。 正面には高圧線が立ちはだかり、もはや目線よりも高い高度になっています。 右側と左側は、大山山頂から伸びた稜線で、こちらも目線より高くなってしまいました。 高圧線と2本の両線が作る3角形の中に閉じ込められてしまったのです。 この3角形の中に着陸できるようなスペースは無く、私に残された選択肢は、「どの木に突っ込むか?」 ということになりました。

大山は背の高い杉の木が多いのですが、視界すみにあった雑木林を目指して突っ込みました。「バリバリ」という音がして、やはり最後は、「ホワ~ン」という感じで優しく木にぶら下がることができました。

ツリーランディングの危険性

上の二つの例で書いたように、木の枝がショックを吸収してくれます。 木に引っかかってしまったパラグライダーを回収するのは大変ですが、ツリーランディングは比較的安全な緊急避難と考えていました。 ところが色々調べて見ると、次のような危険があります。

(1)木から落ちる

引っかかるところまでは良いのですが、その後、自分で降りようとして事故が発生しています。 一番悲惨な例が長野県のエリアで、ツリーランした後で自分で降りようとして亡くなってしまった方がいるそうです。この方、登山を趣味にしていたそうで、木から下りるのも自信があったようです。

ツリーランしてしまったら、シュリンゲで体を確保してから救助を待ちましょう。

(2)木と木の間

木間に突っ込んでしまい、パラグライダーが木に引っかからないと大変です。 萎んだパラグライダーがスポンと抜けて、殆どフリーフォール状態で落ちてしまいます。 これで大けがをした人が実際にいるそうです。

木に突っ込むときは、覚悟を決めて一本の木にしっかりと突っ込みましょう。

(3)木との衝突

旋回しながら落ちた場合など、木との衝突で大きなダメージを負うことがあります。 私の友人は腕を開放骨折してしまいました。 また木の枝がヘルメットの間から顔を直撃してくる恐れもあります。

速いスピードで木に突っ込むときは、顔をしっかりガードしましょう。

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