VPS(バーチャル・プライベート・サーバ)として話題になっている、「さくらインターネット」の有料契約に申し込みました。 メモリは2GB、3コアのCPUを借りました。 さてこの「仮想的」なサーバ、一体、どのくらいのスピードが出ているのでしょうか? 実際に測定してみることにしました。
(今回測定したのは、「演算速度」だけで、ハードディスクの速度は興味の対象ではありません。)
-測定方法-
インターネット上のバーチャルサーバ(さくらのVPS)と、実在するパソコン(WindowsPC+VM ware)の演算速度比較
評価環境
さくらのVPS
- メモリ2GB、3コア
- Scientific Linuxをインストール (Apacheなどのサーバ機能は起動しない)
実在する Windows7 パソコン
- Dell Optiplex (Intel Core i5-2500) 3.3GHz メモリ 8GB
- Windows7(64bit)+VM Ware Wrokstation
- Centosをインストール (Apacheなどのサーバ機能は起動しない)
– 測定結果 その1 –
一番興味があるのは時間安定性です。 例えば金曜日の夕方や土日など、ネットアクセスが頻繁になる時間帯だと、普通のサーバはパフォーマンスが落ちてしまいます。 さくらのVPSは、きちんとCPUパワーを割り振られているのでしょうか?
1時間に一回プログラムが自動起動されるように設定して、実行時間を計測してみました。 自動起動は cron というコマンドを使って実現しています。 起動されるソフトウェアは、C言語で作成したプログラムです。 高速フーリエ変換 (1Mポイントの複素FFT)を100回繰り返します。
7月26日の金曜日(夜中)から3日間、このプログラムを走らせ続けました。 1時間おきに自動計測した実行時間をプロットしたのが下のチャートです。
上の結果を見ると、実行時間が440秒±10%程度に入って安定していることが解ります。 平日、週末、関係なく安定しているようです。
なお、7月28日の夜中に実行時間が長くなっていますが、この期間は別のプログラムも稼働させていました。 おそらくその影響がでて、若干スピードが遅くなったようです。
-測定結果 その2-
時間的に安定していることが解りましたので、ではいよいよ実行速度の比較です。
上で使った1MポイントのFFTプログラムを200回繰り返し実行するようにして、演算時間を長くしました。 このプログラムを1本~4本まで同時実行させることで、プロセス数を変えながら実行時間を比較してみました。 マルチプロセッサなら、プロセス数が増えても演算時間に影響が無いはずです。
シングルプロセス
- さくらVPS 782秒
- Windows7 PC 733秒
ダブルプロセス
- さくらVPS 878秒 (872+885)
- Windows7 PC 849秒 (848+849)
トリプルプロセス
- さくらVPS 1009秒 (996+1002+1031)
- Windows7 PC 1111秒 (955+1134+1243)
クアッドプロセス
- さくらVPS 1386秒 (1414+1409+1347+1374)
- Windows7 PC 1620秒 (1588+1627+1624+1643)
さくらVPSは、WindowsPC (Core-i5)とほぼ同等の性能を出していることが解りました! コアも3つ、しっかり使えるようです!
結論
さくらのVPSですが、少なくとも現時点ではスペック通りの性能が出ていると思います。 思ったよりも「使える」という印象です。
これが年間1万7千円で使いたい放題なのです。 電気代を考えると、自宅にPCを一台設置するよりも遙かに安上がりですね。 これから使用者が増えてきても、この性能を保って頂きたいと思います!